【マンション管理士】令和6年度・問15「転貸借契約(民法)」

マンション管理士

今回は、試験の民法分野で頻出となる「転貸借契約」を取り上げよう。

令和6年度 マンション管理士試験

〔問 15〕 甲マンションの 202 号室を所有するAが、202 号室をBに賃貸して引き渡し、その後、Bが、Aの承諾を得て 202 号室をCに転貸して引き渡した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、AB間の賃貸借に基づいてBがAに対して負う債務の範囲を限度として、Cに対し、BC間の転貸借に基づいてCがBに支払うべき賃料をAに直接支払うよう請求することができる。
2 202 号室が修繕を要する状態になった場合には、Cは、Aに対し、修繕義務の履行を請求することができる。
3 Cは、202 号室についてBの負担に属する必要費を支出したときは、Bに対し、直ちにその償還を請求することができる。
4 Bの債務不履行によってAB間の賃貸借契約が解除された場合には、Aは、Cに対し、202 号室の明渡しを請求することができる。

出典:令和6年度マンション管理士試験 (公益財団法人マンション管理センター)

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正解は 2 です。

【前提知識】
民法(第二款 賃貸借の効力)

※本記事では、令和6年度マンション管理士試験の問題を、現在施行されている法令に基づいて解説しています。


1 正しい。

賃借人Bが承諾を得て転貸した場合、賃貸人Aは転借人Cに対して直接賃料を支払うよう請求できる。その限度額は、「AB間の賃料」と「BC間の転貸賃料」のいずれか少ない方の金額となる。
(民法第613条1項)

具体例で考えるとわかりやすい。

パターン①:AB間の賃料 10万円 > BC間の賃料 8万円 の場合

  • CはもともとBに対して8万円しか支払う義務がない。
  • それなのにAから「10万円払え」と請求されてしまうと、Cは自分が結んだ契約以上の負担を強いられることになり不当である。
  • したがって、Cが支払うべき限度額は8万円(BC間の賃料)となる。

パターン②:AB間の賃料 10万円 < BC間の賃料 12万円 の場合

  • AがBに対して請求できる本来の権利(原賃貸借契約)は10万円である。
  • Aが転貸借に乗じて12万円を得てしまうと、Aは本来の権利を超えて利得することになり不当である。
  • したがって、Aが直接請求できる限度額は10万円(AB間の賃料)となる。

【まとめ】

  • Cを保護する観点から 「BC間の賃料」 を超えてはならない。
  • Aの本来の権利の観点から 「AB間の賃料」 を超えてはならない。

この両方の制限がかかるため、結論として「AB間の賃料とBC間の賃料のいずれか少ない額」が限度額となる。

(転貸の効果)
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
(民法・e-GOV法令検索)

2 誤り。

転借人Cと賃貸人Aとの間には直接の契約関係が存在しない。前述の民法613条1項により、AからCに対する権利行使(賃料の直接請求など)は認められているが、CからAに対する直接の請求権(修繕請求権など)は認められていない。

修繕が必要になった場合、Cは直接の契約相手である転貸人Bに対して修繕を請求し、Bが賃貸人Aに対して修繕を求めるという手順を踏む必要がある。

3 正しい。

賃借人(本問では転借人C)が目的物について賃貸人(本問では転貸人B)の負担に属する必要費を支出したときは、直ちにその償還を請求することができる。CとBの間には転貸借契約が成立しているため、Cは契約相手であるBに対して必要費の償還請求が可能である。
(民法第608条1項)

(賃借人による費用の償還請求)
第六百八条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
(略)
(民法・e-GOV法令検索)

4 正しい。

民法613条3項では、賃借人が適法に賃借物を転貸した場合、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借契約を合意解除したことを転借人に対抗できないと定めている。
ただし、賃貸人が合意解除した当時、賃借人の債務不履行による解除権を有していた場合は例外となる。

本問では、Bの債務不履行によってAB間の賃貸借契約が解除されているため、Aはその解除をCに対抗することができる。
したがって、AはCに対して202号室の明渡しを請求することができる。(民法613条3項)


(解法のポイント)
転借人Cは、賃貸人Aに対して賃料などの債務を直接履行する義務を負う一方、Aに対して直接修繕を請求することはできない。このような権利と義務の違いが、民法613条を理解するポイントである。

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