今回のテーマは、「不動産賃貸借」である。
令 和 7年 度 管理業務主任者試験
【 問41 】 Aが、自己所有の住戸をBに賃貸する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法によれば、最も適切なものはどれか。
1 Bが、その住戸部分を居住の用ではなく、業務の用に供するために賃借した場合には、借地借家法の規定は適用されない。
2 Bは、建物賃借権についての登記がなくても、Aから建物の引渡しを受けた場合には、その後に当該建物をAから買い受けた第三者に対して、建物賃借権を対抗することができる。
3 AとBが、定期建物賃貸借契約を締結する場合には、必ず公正証書によってしなければならない。
4 AB間の賃貸借契約の契約期間を定めなかった場合には、その契約は、期間 1 年の賃貸借契約とみなされる。
答えを確認する
正解は 2 です。
【前提知識】
不動産賃貸借
・民法
・借地借家法
1 誤り。
借地借家法は、土地・建物の賃貸借全般に適用される。
業務の用に供するために賃借した場合に適用されないわけではない。
2 正しい。
建物の賃貸借において、賃借人(B)が第三者に対して賃借権を対抗するための要件は以下の通りである。
- 原則:賃借権の登記をすること(民法605条)
- 借地借家法の特例:登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、それ以降にその建物を買い取った第三者に対しても賃借権を対抗できる(借地借家法第31条1項)
現実の取引において、大家側が賃借人のためにわざわざ建物の賃借権の登記に協力してくれるケースはほとんどない。
もし民法の原則通り、賃借権の登記がなければ第三者に対抗できないとすると、大家側が建物を第三者に売却した場合、賃借人は新しい所有者に対して賃借権を主張できず、不安定な立場に置かれることになる。
そこで借地借家法は、弱い立場にある賃借人を保護するための「特例」を設けたのである。
(借地借家法31条1項)
(不動産賃貸借の対抗力)
第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
(民法・e-GOV法令検索)
(建物賃貸借の対抗力)
第三十一条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
(借地借家法・e-GOV法令検索)
3 誤り。
定期建物賃貸借(定期借家契約)を成立させるための要件は以下の通りである。
- 契約の形態:書面によって契約をする必要がある(借地借家法38条1項)。
- 書面の種類:公正証書による必要はなく、一般の書面であっても有効に成立する。
なお、「事業用定期借地権等」などでは公正証書が必須とされている。
(定期建物賃貸借)
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。(略)
(事業用定期借地権等)
第二十三条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。
3 前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
(借地借家法・e-GOV法令検索)
4 誤り。
期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。
(借地借家法29条1項)
期間を定めなかった場合
「期間の定めのない賃貸借」として扱われる(借地借家法29条1項反対解釈)。
(建物賃貸借の期間)
第二十九条 期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
(借地借家法・e-GOV法令検索)
(解法のポイント)
「1年未満としたときに期間の定めのないものとみなす」というルールがあるため混同しやすいポイントだが、最初から「期間を定めなかった」場合は単純に期間の定めのない賃貸借となる。


コメント