今回のテーマは、「建築基準法」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和5年度 マンション管理士試験 〔問21〕
〔問 21〕 建築基準法(昭和25 年法律第201 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 各階の床面積がそれぞれ300 ㎡ の3階建ての共同住宅について、その1階部分の用途を事務所に変更しようとする場合は、建築確認を受ける必要はない。
2 床面積の合計が300 ㎡ である共同住宅について、大規模の修繕をしようとする場合は、建築確認を受ける必要はない。
3 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、建築基準法の規定に違反した共同住宅の所有者等に対して、当該者からの意見書の提出等の手続によらないで、仮に、当該共同住宅の使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
4 共同住宅の屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口に設ける戸の施錠装置は、屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとし、かつ、当該戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。
令和5年度 マンション管理士試験
正解:2
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、(2023年)令和5年4月1日現在施行している法令等に基づいて出願されているが、本稿は、執筆時点で施行されている法令等に基づいて、正解、解説を執筆する。
特殊建築物である共同住宅の建築確認
「共同住宅用の床面積」が200㎡超の特殊建築物の
- 新築
- 増築・改築・移転
- 大規模の修繕・大規模の模様替
- 用途変更
上記1~4すべてで建築確認が必要(建築基準法6条1項)
ただし、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては、建築確認は不要。(同条2項)
(注1)「3.大規模の修繕・大規模の模様替」は、主要構造部の1種以上を含む、過半の修繕・模様替である場合をいう。
主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。(建築基準法2条5号)
(注2)「4.用途変更」とは、建築物の用途を変更し、変更した床面積の合計を200㎡超の特殊建築物にする場合をいう。
「用途変更」後の建物が、そもそも特殊建築物に「該当しない」場合は、確認申請は不要である。
1 正しい。
各階の床面積がそれぞれ300 ㎡ の3階建ての共同住宅について、その1階部分の用途を事務所に変更しようとすることは、「用途変更」後の建物が、そもそも特殊建築物に「該当しない」場合にあたるので、確認申請は不要である。
2 誤り。
床面積の合計が300 ㎡ である共同住宅について、大規模の修繕をしようとする場合は、建築確認を受ける必要がある。(建築基準法6条1項1号)
(類題)防火地域又は準防火地域において共同住宅を改築しようとする場合、その改築に係る部分の床面積の合計が10 ㎡ 以内であれば、建築確認を受ける必要はない。✖
令和4年度 マンション管理士試験 問21ー2
3 正しい。
特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、当該者からの意見書の提出等の手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。(建築基準法9条7項)
4 正しい。
(屋外への出口等の施錠装置の構造等)
第125条の2 次の各号に掲げる出口に設ける戸の施錠装置は、当該建築物が法令の規定により人を拘禁する目的に供せられるものである場合を除き、屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとし、かつ、当該戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。
一 屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口
二 避難階段から屋外に通ずる出口
三 前二号に掲げる出口以外の出口のうち、維持管理上常時鎖錠状態にある出口で、火災その他の非常の場合に避難の用に供すべきもの
(略)
建築基準法施行令・e-Gov法令検索(注:アンダーライン等は筆者による)
(類題)延べ面積が250㎡の2階建て共同住宅の敷地内には、屋外に設ける避難階段から道又は公園、広場その他の空地に通ずる通路を設けなければならず、当該通路の幅員は0.9m確保すればよい。✖
令和3年度 マンション管理士試験 問21ー4
(解法のポイント)
細かいところも含まれていますが、過去に問われている内容であり、過去問学習をしっかりと積まれた方にとっては容易だったのではないでしょうか。
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