今回のテーマは、「都市計画法」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和5年度 マンション管理士試験 〔問20〕
〔問 20〕 地区計画に関する次の記述のうち、都市計画法(昭和43 年法律第100号)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 地区計画については、地区計画の種類、名称、位置及び区域のほか、区域の整備、開発及び保全に関する方針を都市計画に定めなければならない。
2 地区計画は、市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域には定めることができない。
3 地区整備計画においては、建築物等の用途の制限、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限等について定めることができるが、建築物の緑化率の最低限度については定めることができない。
4 地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更や建築物の建築等を行おうとする者は、原則として、当該行為に着手する日の30日前までに、市町村長に届け出なければならない。
令和5年度 マンション管理士試験
正解:4
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、(2023年)令和5年4月1日現在施行している法令等に基づいて出願されているが、本稿は、執筆時点で施行されている法令等に基づいて、正解、解説を執筆する。
1 誤り。
「地区計画等の種類、名称、位置及び区域」は義務であるが、「当該区域の整備、開発及び保全に関する方針」については、努力義務となっている。
地区計画で定める内容(都市計画法12条の4第2項、12条の5第2項)
義務
- 地区計画等の種類、名称、位置及び区域
- 地区施設・地区整備計画
努力義務
- 区域の面積
- 当該地区計画の目標
- 当該区域の整備、開発及び保全に関する方針
2 誤り。
地区計画は、市街化調整区域についても定めることができる。
都市計画区域に、市街化区域と市街化調整区域との区分(区域区分)を定めることができる。(都市計画法7条1項)
↓
市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるとし、市街化調整区域については、原則として用途地域は定めないとしている。ただし、定めることは可能である。
↓
地区計画は、「用途地域が定められている土地の区域」については、定めるものとする。
↓
市街化調整区域について、用途地域を定めれば、地区計画を定めることができる。
区域 | 地区計画を定められるか | |
---|---|---|
都市計画区域 | 市街化区域 | 可 |
市街化調整区域 | 可 | |
非線引き都市計画区域 | 可 | |
準都市計画区域 | 不可 | |
未指定区域 | 不可 |
3 誤り。
地区整備計画においては、建築物等の用途の制限、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限等についてだけでなく、建築物の緑化率の最低限度についてもは定めることができる。
(地区計画)
第12条の5
7 地区整備計画においては、次に掲げる事項(市街化調整区域内において定められる地区整備計画については、建築物の容積率の最低限度、建築物の建築面積の最低限度及び建築物等の高さの最低限度を除く。)を定めることができる。
(略)
二 建築物等の用途の制限、建築物の容積率の最高限度又は最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度、建築物の敷地の地盤面の高さの最低限度、壁面の位置の制限、壁面後退区域(壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域をいう。以下同じ。)における工作物の設置の制限、建築物等の高さの最高限度又は最低限度、建築物の居室(建築基準法第二条第四号に規定する居室をいう。)の床面の高さの最低限度、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限、建築物の緑化率(都市緑地法第三十四条第二項に規定する緑化率をいう。)の最低限度その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの
都市計画法・e-Gov法令検索
4 正しい。
(建築等の届出等)
第58条の2 地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第十二条の五第五項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。(略)
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