本稿では、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」を「マンション管理適正化法」という。
今回のテーマは、「マンション管理適正化法(管理業者)」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和5年度 マンション管理士試験 〔問49〕
〔問 49〕 マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法(この問いにおいて「法」という。)によれば、正しいものはいくつあるか。
ア マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務について、複数の者に分割して委託する場合は、その全てを再委託することができる。
イ マンション管理業者は、法第 77 条に定める管理事務報告を行うに際して、管理組合に管理者等が置かれていない場合は、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理事務に関する報告を記載した書面を交付すれば足りる。
ウ マンション管理業者は、管理受託契約を締結したとき、管理組合に管理者等が置かれている場合は、当該管理者等に対し、法第 73 条に定める契約成立時の書面を交付しなければならない。
エ マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、管理組合の管理者等に交付するときは、管理業務主任者をして記名させなければならない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
令和5年度 マンション管理士試験
正解:1
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものとする。
ア 誤り。
マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならない。(マンション管理適正化法74条)
複数の者に分割して委託する場合でも、その全てを再委託することができない。
イ 誤り。
マンション管理業者は、第77条第2項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれていないときは、管理事務報告書を作成し、説明会を開催し、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理業務主任者をして、これを当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に交付して説明をさせなければならない。(マンション管理適正化法77条2項、同施行規則89条1項)
ウ 正しい。
マンション管理業者は、管理受託契約を締結したとき、管理組合に管理者等が置かれている場合は、当該管理者等に対し、第 73 条に定める契約成立時の書面を交付しなければならない。(マンション管理適正化法73条1項)
エ 誤り。
マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月(対象月)における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。(施行規則87条5項前段)
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