今回のテーマは、「消防法」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和3年度 マンション管理士試験 〔問23〕
〔問 23〕 消防法(昭和23 年法律第186 号)の規定によれば、消防法施行令(昭和36 年政令第37 号。この問いにおいて「政令」という。)別表第一(五)項ロに掲げる防火対象物である共同住宅における防火管理等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 居住者が50 人の共同住宅の管理について権原を有する者は、防火管理者を解任したときは、遅滞なくその旨を所轄消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。)又は消防署長に届け出なければならない。
2 その管理について権原が分かれている共同住宅にあっては、当該共同住宅の防火管理者は、消防計画に、当該共同住宅の当該権原の範囲を定めなければならない。
3 延べ面積が2,500 ㎡ で、50 人が居住する共同住宅における防火管理者には、当該共同住宅において防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるもので、市町村の消防職員で管理的又は監督的な職に1年以上あった者を選任することができる。
4 高さが30 m で、100 人が居住する共同住宅の管理者、所有者又は占有者は、当該共同住宅において使用するカーテンについて、防炎性能を有しないカーテンを購入し、政令で定める基準以上の防炎性能を与えるための処理をさせたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。
令和3年度 マンション管理士試験
正解:4
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2021年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものとする。
1 正しい。
居住者が50 人の共同住宅の管理について権原を有する者は、防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。(消防法8条2項)
2 正しい。
消防法においては、防火対象物におけるソフト面での予防体制の基本をなすものとして、防火管理制度及び防災管理制度(「防火・防災管理制度」という。)が設けられている。これは、火災・災害の発生を防止し、被害を軽減するために、必要最小限度の義務を防火対象物の所有者・管理者・占有者等に課しているものである。
消防計画は管理権原の及ぶ範囲について作成することが必要である。この場合において、管理について権原を有するものが複数存する防火対象物の場合には、個々の管理権原者単位(すなわち選任された防火・防災管理者単位)で防火・防災管理者を定め、消防計画を作成させ、防火・防災管理上必要な業務を行わせることが必要である。(消防計画作成ガイドライン)
3 正しい。
延べ面積が500㎡以上(本肢では2,500㎡)で、50 人以上が居住する共同住宅(甲種防火対象物に該当)においては、甲種防火管理者の選任が必要である。(消防法施行令1条の2第3項1号ハ、3条1項1号・2号)
そして、市町村の消防職員で管理的又は監督的な職に1年以上あった者で、当該防火対象物において防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるものを選任することができる。(3条1項1号)
4 誤り。
高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
(消防法8条の3第1項)
第1項の防火対象物の関係者は、当該防火対象物において使用する防炎対象物品について、当該防炎対象物品若しくはその材料に同項の防炎性能を与えるための処理をさせ、又は第2項の表示若しくは指定表示が付されている生地その他の材料からカーテンその他の防炎対象物品を作製させたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。
(8条の3第5項)
そして、高層建築物とは、高さ31メートルを超える建築物をいう。第8条の3第1項において同じである。(8条の2第1項)
したがって、本肢は、その旨を明らかにしておく必要はない。
コメント