今回のテーマは、「管理費の滞納」である。
それでは、「令和5年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和5年度 管理業務主任者試験問題 【問 40】
【問 40】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。
1 管理費の滞納者が、管理組合に対し、滞納管理費の額と滞納している事実を認めた場合は、その時から、当該債権について時効の更新の効力が生じる。
2 管理費の滞納者が死亡した場合は、その相続人が、当該マンションに居住しているか否かにかかわらず、それぞれの相続分に応じて、当該滞納管理費債務を承継する。
3 管理費の滞納者に対して訴訟を提起するためには、事前に内容証明郵便による督促を行う必要がある。
4 管理費の滞納者が死亡し、その相続人全員が相続放棄した場合は、いずれの相続人も滞納管理費債務を負わない。
令和5年度 管理業務主任者試験問題
正解:3
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものとする。
本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。
1 正しい。
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。(民法152条1項)
そして、「管理費の滞納者が、管理組合に対し、滞納管理費の額と滞納している事実を認める」ことは、承認に該当する。
2 正しい。
管理費の滞納者が死亡した場合は、その相続人が、当該マンションに居住しているか否かにかかわらず、それぞれの相続分に応じて、当該滞納管理費債務を承継する。(判例)
3 誤り。
管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。(区分所有法26条4項)
そして、訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。(民事訴訟法134条1項)
ただし、訴訟を提起するためには、事前に内容証明郵便による督促を行う必要はない。
4 正しい。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。(民法896条本文)
ただし、相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。(民法939条)
したがって、管理費の滞納者が死亡し、その相続人全員が相続放棄した場合は、いずれの相続人も滞納管理費債務を負わない。
(類題)滞納者が死亡し、その相続人全員が相続放棄した場合には、いずれの相続人も滞納管理費債務を負わない。〇
令和3年度 管理業務主任者試験 問11ー3
(解法のポイント)肢4の論点は繰り返し出題されている。しっかりと復習しておこう。
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