今回のテーマは、「外部専門家の選任(標準管理規約)」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和5年度 マンション管理士試験 〔問28〕
〔問 28〕 管理組合が、外部専門家を理事長に選任しようとする場合の手続きに関する次の記述のうち、標準管理規約及び外部専門家の活用ガイドライン(国土交通省平成29 年6月公表)によれば、適切でないものはどれか。ただし、当該管理組合の管理規約には、標準管理規約に沿って外部専門家を役員として選任できる旨が規定されているものとする。
1 外部専門家の選任方法については、細則に委任されているので、あらかじめ細則等において、役職も含めて総会で決議する等の特別の手続きを定めておくことが望ましい。
2 マンション管理士の登録の取消し又はマンション管理に関する分野に係る資格についてこれと同様の処分を受けた者は、役員になることはできないことを細則で定めることができる。
3 外部専門家を理事長とするためには、管理組合の内部での手続きとあわせ、管理組合と外部専門家との間で、理事長業務の委託契約を締結する必要がある。
4 外部専門家の導入のための総会決議において、選任方法について細則を定める場合には、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の多数による決議が必要となる。
令和5年度 マンション管理士試験
正解:4
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
外部専門家の選任方法については、細則に委任されています(標準管理規約第35条第4項)ので、あらかじめ細則等において、特別の手続(役職も含めて総会で決議する等。下記参照)を定めておくことが望ましい(外部専門家の活用ガイドライン)
(役員)
第35条 管理組合に次の役員を置く。
(略)
4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。
標準管理規約
2 正しい。
第36条の2関係
② 外部の専門家からの役員の選任について、第35条第4項として細則で選任方法を定めることとする場合、本条に定めるほか、細則において、次のような役員の欠格条項を定めることとする。
ア 個人の専門家の場合 ・ マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者から役員を選任しようとする場合にあっては、マンション管理士の登録の取消し又は当該分野に係る資格についてこれと同様の処分を受けた者
(略)
標準管理規約コメント
3 正しい。
委託契約を締結することにより、役員の業務を外部専門家に委託することができます。外部専門家である役員の権限・責任や区分所有者との関係についての基本的な内容は、区分所有法や管理規約、細則等で定められますが、これらで定められた内容やその詳細について、書面で契約として締結して明確化しておくことも有効であると考えられます。(外部専門家の活用ガイドライン)
4 正しい。
外部専門家の導入のための総会決議において、選任方法について細則を定める場合には、出席組合員の議決権の過半数で決する。
(議決事項)
第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
1 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
(略)
(総会の会議及び議事)
第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
(略)
標準管理規約
(解法のポイント)「外部専門家の活用ガイドライン」が出てきてとちょっと難しそうな印象であるが、正解肢は基本的なものである。確実に得点したい。
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