マンション管理士の過去問を解こう(令和6年度)「区分所有法(管理者)」

マンション マンション管理士

今回のテーマは、「区分所有法(管理者)」である。

なお、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。

令和6年度 マンション管理士試験 〔問 4〕

〔問 4〕 管理者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって管理者を選任することができるが、区分所有者以外の者を管理者に選任することもできる。
イ 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があっても、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものでなければ、その解任を裁判所に請求することができない。
ウ 集会で複数の理事を選任し、理事長は理事会で理事の互選で選任する旨を規約で定めた場合において、当該規約に解任の定めがない場合であっても、理事会決議で理事長の職を解き理事とすることは、当該規約に違反するとはいえない。
エ 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

令和6年度 マンション管理士試験

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。

ア 正しい。

区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。(区分所有法25条1項)

区分所有者は、原則として、集会の普通決議(区分所有者及び議決権の各過半数の多数による決議)によって、管理者を選任・解任できる。
任期途中で、管理者を解任する場合でも、正当事由は必要ない。

区分所有法上、管理者の選任は任意であり、管理者の資格要件はなく、また、管理者の人数に制限はない。

イ 誤り。

管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。(区分所有法25条2項)

管理者に不正な行為等があることを前提に、「各」区分所有者に、裁判所に対して、その解任を裁判所に請求する権限を認めるものである。
集会の決議で管理者の解任の決議が否決されても解任請求ができるということである。

ウ 正しい。

理事長は、区分所有法に定める管理者とする。(標準管理規約38条2項)

区分所有法上、管理者の選任は任意であり、管理者の資格要件はなく、また、管理者の人数に制限はない。(区分所有法25条1項)

理事長を建物の区分所有等に関する法律に定める管理者とし、役員である理事に理事長を含むものとした上,役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならないとする一方で、理事を組合員のうちから総会で選任し,理事の互選により理事長を選任する旨の定めがある規約を有するマンション管理組合においては、理事の互選により選任された理事長につき、当該規約中の理事の互選により理事長を選任する旨の定めに基づいて,理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができる
最判平成29年12月18日民集 第71巻10号2546頁

エ 正しい。

管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。(区分所有法26条4項)

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