本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。
今回のテーマは、「管理所有」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和3年度 マンション管理士試験 〔問4〕
〔問 4〕 管理者による管理所有に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 規約において、法定共用部分だけでなく規約共用部分についても管理所有の対象とすることができる。
2 規約で管理者が建物の敷地及び附属施設を所有すると定めることにより、管理者はこれらの管理に必要な行為を行う権限を有する。
3 管理者による管理所有が規約で定められている場合、管理者は、共用部分につき損害保険契約を締結することができる。
4 管理者による管理所有が規約で定められていても、管理所有の対象としている共用部分の保存行為については、管理者だけでなく、共用部分を共有する各区分所有者がすることができる。
令和3年度 マンション管理士試験
正解:2
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2021年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものとする。
1 正しい。
管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。(区分所有法27条1項)
この共有部分には、法定共用部分だけでなく、規約共用部分も含まれる。
2 誤り。
建物の敷地及び附属施設は管理所有の対象にはならない。(区分所有法27条1項参照)
3 正しい。
管理所有が認められる場合、管理者は、区分所有者全員(一部共用部分については、これを共用すべき区分所有者)のためにその共用部分を管理する義務を負う。(27条2項、20条1項前段)
そして、共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。(18条4項)
4 正しい。
管理者による管理所有が規約で定められていても、管理所有の対象としている共用部分の保存行為については、管理者だけでなく、共用部分を共有する各区分所有者がすることができる。
(27条、20条2項参照)
管理所有者は共用部分の独占的・排他的な支配権を有するものではない。
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