今回のテーマは、「エレベーター」である。
令和7年度 管理業務主任者試験問題 【 問13 】
【 問13 】 エレベーターに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 建築物に設ける昇降機は、建築基準法において建築設備として定義されている。
2 エレベーターの管理者は、当該エレベーターの保守点検業者の保守点検が適切に行われているかどうかを専門的知見を有する第三者に現場で調査させることができる。
3 建築基準法に基づき建築設備検査員資格者証の交付を受けている者は、昇降機について建築基準法第12条第 3 項に規定する検査を行うことができる。
4 エレベーターの戸開走行保護装置とは、駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合などに、自動的にかごを制止する装置をいう。
令和7年度 管理業務主任者試験
答えを確認する
正解は 3 です。
【前提知識】
エレベーター
- 定義
- 保守点検の調査
- 定期検査ができる者
- 戸開走行保護装置
それでは、各肢を検討していこう。
1 正しい。
建築基準法2条3号において、昇降機(エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機など)は「建築設備」の一つとして定義されている。
建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。
(建築基準法2条3号)
2 正しい。
管理者が保守点検の質を客観的に評価するために、「昇降機等検査員」などの専門的な知見を持つ第三者に調査(いわゆるセカンドオピニオンや監査)を依頼することは可能である。
3 誤り。
建築基準法第12条第3項に基づく「昇降機」の定期検査を行うことができるのは、以下のいずれかの資格を持つ者に限定されている。
- 一級建築士
- 二級建築士
- 建築設備等検査員(昇降機等検査員)
3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
(建築基準法12条3項)
建築基準法第12条第3項における定義を整理すると、以下のようになる。
- 大きなグループ名(法文上の定義): 建築設備等検査員
- その中に入っている具体的な資格(中身):
- 昇降機等検査員 (← エレベーターの専門家)
- 建築設備検査員 (← 換気・給排水の専門家)
- 防火設備検査員 (← 防火扉・シャッターの専門家)
したがって、「建築設備等検査員(そのうちの、昇降機等検査員)」と整理できる。
4 正しい。
3 エレベーターには、前項に定める制動装置のほか、次に掲げる安全装置を設けなければならない。
一 次に掲げる場合に自動的にかごを制止する装置
イ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合
ロ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合
(建築基準法施行令129条の10第3項1号ロ)
戸開走行保護装置(UCMP)の仕組み
通常、エレベーターは戸が開いている間は動かないように安全回路が組まれている。しかし、ブレーキの故障や制御回路の短絡(ショート)などが起きると、戸が開いたまま動き出してしまう危険がある。
この装置は、以下の2つを独立して検知・作動させることで二次的な事故を防ぐ。
- 検知: 戸が開いている状態でかごが動き出したことを検知する。
- 制止: 駆動装置(巻上機)のブレーキなどを用いて、強制的にかごを止める。
設置の義務化(法的なポイント)
2006年に発生したシンドラーエレベータ製の事故などを受け、建築基準法が改正された。
- 2009年(平成21年)9月以降に設置されるエレベーターには、この「戸開走行保護装置」の設置が義務化されている。
- それ以前に設置された「既存不適格」のエレベーターについては、リニューアル(改修)のタイミングで設置することが強く推奨されている。
(解法のポイント)
本問は、頻出論点である。間違えた場合はしっかりと整理しておこう。


コメント