今回のテーマは、「消費税の課税事業者」である。
「令和7年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和7年度 管理業務主任者試験問題 【 問9 】
【 問9 】 次の記述のうち、消費税法によれば、管理組合が当課税期間において、必ず
消費税の課税事業者となるものはいくつあるか。
ア 基準期間における甲管理組合の敷地の一部貸出による組合員以外の第三者からの賃料収入は980万円、その他、組合員以外の第三者からの駐車場使用料収入は120万円であり、特定期間における当該敷地の一部貸出による組合員以外の第三者からの賃料収入は460万円、その他、組合員以外の第三者からの駐車場使用料収入は42万円であったが、特定期間における甲管理組合採用の職員に対する給与等支払額は1,050万円であった。
イ 基準期間における乙管理組合の全収入は2,974万円であり、その内訳は、管理費等収入が2,400万円、駐車場使用料収入が550万円(組合員以外の第三者からのもの120万円を含む。)、専用庭使用料収入が24万円であったが、基準期間以降についても同額の収入構成であった。
ウ 基準期間における丙管理組合の課税売上高は980万円であり、特定期間における課税売上高は1,050万円であったが、特定期間における丙管理組合採用の職員に対する給与等支払額は550万円であった。
エ 基準期間における丁管理組合の課税売上高は850万円、特定期間における課税売上高は1,450万円であったが、特定期間における丁管理組合採用の職員に対する給与等支払額は1,250万円であった。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
令和7年度 管理業務主任者試験
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正解は 1 です。
(小規模事業者に係る納税義務の免除)
第9条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者(適格請求書発行事業者を除く。)については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(略)
(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第9条の2 個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が千万円以下である場合において、当該個人事業者又は法人(前条第四項の規定による届出書の提出により消費税を納める義務が免除されないものを除く。)のうち、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度に係る特定期間における課税売上高が千万円を超えるときは、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同条第一項本文の規定は、適用しない。
2 前項に規定する特定期間における課税売上高とは、当該特定期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額をいう。
一 特定期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
二 特定期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に七十八分の百を乗じて算出した金額
3 国外事業者以外の事業者が第一項の規定を適用する場合においては、前項の規定にかかわらず、当該事業者が第一項の特定期間中に支払つた所得税法第二百三十一条第一項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額をもつて、第一項の特定期間における課税売上高とすることができる。
(略)
消費税法(e-Gov法令検索)
特定期間の判定ルール
消費税法においては、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(前事業年度の前半6ヶ月)において、以下の「いずれも」1,000万円を超えている場合に課税事業者となる。
- 特定期間の課税売上高が1,000万円を超える
- 特定期間の給与支払額が1,000万円を超える
※ポイントは、「売上高」に代えて「給与支払額」で判定することができるという点である。つまり、給与額を基準にするのは「選択」できる。
どちらか一方が1,000万円以下であれば、免税事業者を選択できる。
ア:甲管理組合(免税)
消費税法において土地の貸付けは原則として「非課税売上」となる。
したがって、課税売上高が1,000万以下のため免税である。(消費税法9条1項)
なお、特定期間における給与等支払額を課税売上高とみなすことが「できる」という規定があるが、課税売上高とみなすことが強制されているわけではない。(消費税法9条の2第3項)
イ:乙管理組合(免税)(消費税法9条の2第1項)
- 基準期間の課税売上:120万円(第三者分のみ)
- 課税売上高が1,000万円以下のため、免税。
ウ:丙管理組合(免税)
- 基準期間:980万円(1,000万円以下)
- 特定期間:売上1,050万円(1,000万超)/ 給与550万円(1,000万以下)
- 判定: 給与支払額が1,000万円以下のため、免税事業者を選択できる。 したがって「必ず課税」にはならない。
エ:丁管理組合(課税)
- 基準期間:850万円(1,000万円以下)
- 特定期間:売上1,450万円(1,000万超) / 給与1,250万円(1,000万超)
- 判定: 売上・給与ともに1,000万円を超えているため、必ず課税事業者となる。
(解法のポイント)
「土地の賃料=非課税」という基本原則を、管理組合の複雑な収入内訳(駐車場や第三者利用)に正確に当てはめられるかどうかが、この問題のポイントである。


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