本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。
今回のテーマは、「売渡請求」である。
それでは、「令和3年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和3年度 管理業務主任者試験問題 【問 33】
【問34】区分所有法の規定によれば、建替え決議が可決した後、建替えに参加するか否かの催告期間が終了するまでの間に、次の行動をとった区分所有者に対し、買受指定者として定められている者が、当該催告期間経過後に、売渡請求できるのはどれか。
1 建替え決議で建替えに賛成したが、事情により建替えに参加できない旨を申し出た。
2 建替え決議で建替えに反対したが、建替えに参加する旨を回答し、その後さらに、その回答を撤回して、参加しない旨を申し出た。
3 建替え決議で建替えに反対し、建替えに参加しない旨を回答したが、その後さらに、その回答を撤回して、参加する旨を申し出た。
4 建替え決議で議決権を行使しなかったが、建替えに参加するか否かの回答もしなかった。
令和3年度 管理業務主任者試験
正解:4
1 売渡請求できない
建替え決議があった場合、買受指定者(建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者)は、建替えに参加するか否かの催告期間の満了日から2カ月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。(区分所有法63条5項前段)
そして、建替え決議で建替えに賛成した区分所有者は、その後に建替え不参加の意思表示はできない。
したがって、売渡請求できない。
2 売渡請求できない
肢1の解説参照。
催告期間内にいったん建替え決議で建替えに賛成した区分所有者は、その後に建替え参加の意思を撤回できない。
したがって、売渡請求できない。
3 売渡請求できない
肢1の解説参照。
催告期間内に建替えに賛成しない旨の回答をしても、催告期間内であれば、これを撤回して新たに参加する旨の回答をすることができる。
したがって、売渡請求できない
4 売渡請求できる
催告期間内に回答しなかった区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。(区分所有法63条4項)
したがって、売渡請求できる。
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