本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。
今回のテーマは、「共有物分割請求権」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和3年度 マンション管理士試験 〔問2〕
〔問 2〕 共有物分割請求権の行使に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 民法では、5年を超えない期間内は、共有物の分割をしない旨の契約をすることを妨げられていないが、当該契約の更新は認められない。
イ 区分所有建物の専有部分以外の建物の部分を共有する区分所有者は、当該建物の部分について、共有物分割請求権を行使することができない。
ウ 区分所有建物の専有部分を共有する区分所有者は、当該専有部分について、共有物分割請求権を行使することができない。
エ 区分所有建物の専有部分を規約により共用部分とした場合、当該規約共用部分を共有する区分所有者は、当該規約共用部分について共有物分割請求権を行使することができない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
令和3年度 マンション管理士試験
正解:2
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2021年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものとする。
ア 誤り。
(共有物の分割請求)
第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。
(民法・e-Gov法令検索)
したがって、当該契約の更新は認められる。
イ 正しい。
「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び共用部分とされた附属の建物をいう。(区分所有法2条4号)
共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。(区分所有法11条1項本文)
共有物は、いつでも分割できるのが原則だが、(民法256条1項参照)共用部分の分割請求はできない。
ウ 誤り。
共有物は、いつでも分割できるのが原則である。(民法256条1項参照)
専有部分は区分所有者の所有物であるので、分割請求が禁止されることはない。
エ 正しい。
建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。(区分所有法4条2項本文)
そして、共用部分の分割請求はできない。このことは、規約共用部分であっても同じである。
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