【マンション管理士】令和7年度「鉄筋コンクリートの劣化現象」

マンション管理士

今回のテーマは、「鉄筋コンクリートの劣化現象」である。

令和7年度 マンション管理士試験

〔問 39〕 鉄筋コンクリートの劣化現象に関する次の記述のうち、適切なものはどれ
か。
1 中性化とは、コンクリートが空気中の炭酸ガス、その他の酸性ガスあるいは塩類の作用によりアルカリ性を失っていく現象をいう。
2 エフロレッセンスとは、コンクリート表面に出る黒色の汚れを指し、コンクリート内部のアルカリ成分が水分とともに表面に移動し、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムになったものである。
3 ポップアウトとは、コンクリート内部の鉄筋に沿ってひび割れが生じる現象をいう。
4 さび汚れとは、コンクリート表面が金属の錆により汚れる現象であるが、コンクリート内部の鉄筋は酸化被膜によって保護され錆が防がれていることから、錆汚れの原因になることは少ない。

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正解は 1 です。

【前提知識】
・中性化
・エフロレッセンス
・ポップアウト
・錆汚れ


1 正しい。

コンクリートの中性化について、試験や実務で押さえておくべきポイントを整理しました。

  • 本質的な現象
    本来、コンクリート内部は水酸化カルシウム $\text{Ca(OH)}_2$ によって強いアルカリ性(pH 12〜13程度)に保たれている。これが空気中の二酸化炭素(炭酸ガス:$\text{CO}_2$)等と反応し、炭酸カルシウム($\text{CaCO}_3$)へ変化することで、徐々にアルカリ性が失われていく現象を中性化と呼ぶ。
  • 何が問題になるか?
    コンクリート自体が多少中性化しても、直ちにコンクリート自体の強度が大きく低下するわけではない。最大の課題は「中の鉄筋がサビやすくなる」点である。
    • 通常(アルカリ性)
      強いアルカリ性によって鉄筋の表面に「不動態被膜」という保護膜が形成され、サビから守られています。
    • 中性化
      アルカリ性が失われると不動態被膜が破壊され、水分と酸素の影響で鉄筋が腐食(サビ)する。サビて膨張すると、内部からコンクリートを押し割り(爆裂)、構造物全体の耐久性が著しく低下する。
  • 試験対策のチェックポイント
    • 中性化の主な原因は二酸化炭素
    • 中性化の判定には、フェノールフタレイン溶液が用いられる。アルカリ性の部分は赤紫色に呈色し、中性化した部分は呈色しない。

2 誤り。

エフロレッセンス(白華現象)とは
コンクリート内部の成分が水分と一緒に表面へ溶け出し、空気中の二酸化炭素と反応して固まることで、表面に現れる白い結晶や汚れのことである。

エフロレッセンス(白華現象)のメカニズム

  1. コンクリート内部の可溶性物質が、侵入した水分に溶け出す。
  2. その水分が乾燥に伴ってコンクリート表面へ移動・蒸発する。
  3. 表面に残ったカルシウム成分が空気中の二酸化炭素($\text{CO}_2$)と反応し、水に溶けにくい白色の炭酸カルシウム($\text{CaCO}_3$)となって定着・結晶化する。

構造物への影響

  • 美観を損ねる。
  • エフロレッセンス自体が直ちに強度低下を引き起こすわけではないが、「内部に水が侵入・移動している証拠(ひび割れや漏水のサイン)」となるため、劣化の兆候として注意が必要である。

3 誤り。

「コンクリート内部の鉄筋に沿ってひび割れが生じる現象」は、ポップアウトではなく「鉄筋腐食によるひび割れ(または爆裂の前兆)」などの説明である。

ポップアウト現象とは
コンクリート表面近くにある吸水性の高い骨片(吸水率の高い骨材や、凍害を受けやすい骨材など)が、水分を含んだ状態で凍結融解を繰り返したり、アルカリ骨材反応を起こしたりすることで膨張し、コンクリート表面が円すい状に破壊・剥離する現象を指す。

4 誤り。

内部の鉄筋のサビ(腐食)こそが、コンクリート表面に現れる錆汚れの主要な原因である。

なぜ内部の鉄筋が原因になるのか?

  1. 初期段階では不動態被膜によって守られているが、中性化の進行や塩害(塩化物イオンの侵入)により、不動態被膜が破壊される。
  2. 膜が破れた鉄筋は、水と酸素の影響でサビ(酸化鉄)を発生させる。
  3. 発生したサビが雨水などに溶け出し、コンクリートのひび割れやジャンカ(充填不良部)を通って表面に滲み出ることで、赤茶色の錆汚れとなる。

解法のポイント
・中性化
$\text{CO}_2$ でアルカリ失う $\rightarrow$ 鉄筋サビやすくなる
・エフロレッセンス
白い粉・結晶(炭酸カルシウム)
・ポップアウト
骨材の膨張・凍結で円すい状に破壊・剥離する
・爆裂・錆汚れ
内部鉄筋のサビ(不動態被膜の破壊)が直接の引き金

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