マンション管理士の過去問を解こう(令和5年度)「役員・理事会(標準管理規約)」

集会 マンション管理士

今回のテーマは、「役員・理事会(標準管理規約)」である。

それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和5年度 マンション管理士試験 〔問29〕

〔問 29〕 管理組合の役員及び理事会に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 区分所有者が、管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることは、役員の欠格事由に当たる。
2 監事は、業務監査及び会計監査の権限を有しており、業務の執行又は財産の状況を理事に報告するために、いつでも、自ら理事会の招集をすることができる。
3 大規模修繕工事の内容の検討のために建物診断を業者に依頼する場合、管理組合の理事会は、総会の決議を経ずに、理事会のみの判断で、建物診断の発注をすることができる。
4 マンション管理士が外部専門家として理事に就任している管理組合において、当該組合が当該管理士との間で長期修繕計画作成のための契約を締結する場合には、当該管理士は理事会の承認を得なければならない。

令和5年度 マンション管理士試験

正解:4

それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることが、役員の欠格事由に当たるという規定はない。(標準管理規約36条の2参照)

(役員の欠格条項)
第36条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
1 精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産者で復権を得ないもの
2 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
3 暴力団員等(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。)

標準管理規約

2 誤り。

監事は、業務監査及び会計監査の権限を有している。(標準管理規約41条1項、2項)

そして、監事は、業務の執行又は財産の状況を理事に報告するために、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。(標準管理規約41条6項)

なお、監事から理事会招集の請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。(標準管理規約41条7項)

(監事)
第41条 (略)
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。

標準管理規約

類題)監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるときは、直ちに、理事会を招集することができる。✖
令和4年度 管理業務主任者試験問題 問12ー4

3 誤り。

理事会は、総会の決議を経ずに、理事会のみの判断で、建物診断の発注をすることはできない。
(標準管理規約48条10号)

(議決事項)
第48条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない
(略)
10 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
(略)

(修繕積立金)
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
1 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
2 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
3 敷地及び共用部分等の変更
建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査
5 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

標準管理規約

第32条関係
(略)
長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。 ただし、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩すこととなる。

標準管理規約コメント

4 正しい。

マンション管理士が外部専門家として理事に就任している管理組合において、当該組合が当該管理士との間で長期修繕計画作成のための契約を締結する場合には、当該管理士は理事会の承認を得なければならない。(標準管理規約37条の2第1号)

外部専門家であっても理事に就任している以上、役員としての対応は変わらない。

(利益相反取引の防止)
第37条の2 役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
1 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
2 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするとき。

標準管理規約

解法のポイント)標準管理規約の役員及び理事会についての基本的な問題である。確実に正解しよう。

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