管理業務主任者の過去問を解こう(令和5年度)「管理費の滞納」

滞納 管理業務主任者

今回のテーマは、「管理費の滞納」である。

それでは、「令和5年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和5年度 管理業務主任者試験問題 【問 39】

【問 39】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。

1  管理組合は、管理費が滞納されている場合、管理規約に遅延損害金の定めがないときでも、遅延損害金を請求することができる。
2  賃借人が賃貸借契約により管理費を管理組合に支払っていた場合でも、当該賃借人が管理費の支払いを滞納したときは、当該管理組合は、賃貸人である区分所有者に滞納管理費を請求することができる。
3  専有部分の売買契約によって、滞納されていた管理費の支払義務は区分所有権を取得した買主に承継されるが、売主自身の支払義務が消滅するわけではない。
4  競売手続によってマンションの区分所有権を取得した場合には、買受人は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継しない。

令和5年度 管理業務主任者試験問題

正解:4

それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものとする。

本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。

1 正しい。

金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。(民法419条1項)

そして、この損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。(同2項)

2 正しい。

各共有者(区分所有者)は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。(区分所有法19条)

したがって、賃借人が賃貸借契約により管理費を管理組合に支払っていた場合でも、当該賃借人が管理費の支払いを滞納したときは、当該管理組合は、賃貸人である区分所有者に滞納管理費を請求することができる。

3 正しい。

区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。(区分所有法7条1項・8条)

したがって、専有部分の売買契約によって、滞納されていた管理費の支払義務は区分所有権を取得した買主に承継されるが、売主自身の支払義務が消滅するわけではない

4 誤り。

競売手続によってマンションの区分所有権を取得した場合でも、買受人は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継する

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