管理業務主任者の過去問を解こう(令和5年度)「団地内建物の建替え決議」

管理業務主任者

今回のテーマは、「団地内建物の建替え決議」である。

それでは、「令和5年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和5年度 管理業務主任者試験問題 【問 33】

【問 33】 団地内建物の建替え決議に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 団地内建物の建替え決議については、一括建替え決議をする場合でも、団地内の特定の建物のみを建て替える場合でも、いずれも、全ての建物が専有部分のある建物である必要はない。
イ 一括建替え決議は、団地内建物の敷地が、その団地内建物の区分所有者全員の共有になっている場合でなければならない。
ウ 団地管理組合の規約の定めにより、団地内の専有部分のある建物の管理を棟別の管理組合で行うことになっている場合には、その規約の定めを、団地管理組合の管理で行う旨に改正しない限り一括建替え決議はできない。
エ 団地内の特定の建物のみで建替え決議をする場合には、当該建物の建替え決議に加えて、団地管理組合の集会において、敷地共有者の数及び議決権の各4 分の3 以上の特別多数による建替え承認決議と、当該建替えによって特別の影響を受ける者の承諾が別途必要である。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ

令和5年度 管理業務主任者試験問題

正解:2

それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。

本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。

ア 誤り。

団地内の特定の建物のみを建て替える場合は、
①当該特定建物が専有部分のある建物である場合は、その建替え決議又はその区分所有者の全員の同意があること。
②当該特定建物が専有部分のある建物以外の建物である場合は、その所有者の同意があること。
が必要である。
そして、当該土地の共有者である当該団地内建物の団地建物所有者で構成される団体又は団地管理組合法人の集会において議決権の4分の3以上の多数による承認の決議(建替え承認決議)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。)に新たに建物を建築することができる。(区分所有法69条1項)

したがって、団地内の特定の建物のみを建て替える場合には全ての建物が専有部分のある建物である必要はない。

これに対し、一括建替え決議をするには、団地内建物の全部が専有部分のある建物である必要がある。(70条1項)

イ 正しい。

団地内建物の一括建替え決議をするには、団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地が当該団地内建物の区分所有者の共有に属することが要件とされている。(70条1項)

ウ 正しい。

団地内建物の一括建替え決議をするには、団地内建物が団地管理組合の規約によって、団地管理組合の管理の対象とされていなければならない。(70条1項)

したがって、規約の改正が必要である。

エ 誤り。

団地内の特定の建物のみを建て替える場合の集会における各団地建物所有者の議決権は、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。(区分所有法69条2項)

団地内の特定の建物のみを建て替える場合の建替え承認決議に係る建替えが、当該特定建物以外の建物の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、
①当該他の建物が専有部分のある建物である場合は、会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者
②当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合は、当該他の建物の所有者
が当該建替え承認決議に賛成しているときに限り、当該特定建物の建替えをすることができる。(同5項)

したがって、当該他の建物が専有部分のある建物である場合は、決議要件は、会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者であり、敷地共有者の数は必要ない。

解法のポイント)敷地共有者の数は、建替え承認決議要件ではない。

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