今回のテーマは、「議決権行使等(標準管理規約)」である。
それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和5年度 マンション管理士試験 〔問31〕
〔問 31〕 総会において議長が議決権行使を有効と判断した取扱いに関する次の記述のうち、民法の規定及び標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。ただし、当該管理組合の管理規約では、外部専門家を役員として選任できない旨が規定されているものとする。
1 総会の招集通知に添付してある一連の出席票・委任状・議決権行使書において、出席とした上で、余白に「万一欠席した場合は、議長に一任する」という手書きの文章が追加されて返信され、総会当日は欠席であったので議長が代理人として議決権を行使した。
2 自分のパソコンで「全ての議案に反対する」と部屋番号と氏名を記載した議決権行使書を作成し印刷されたものが提出された。
3 外国居住の区分所有者に住戸購入を媒介した日本の不動産業者が、自らを受任者とする委任状に記名押印して管理組合に郵送してきた。
4 議決権行使書に、「議案に賛成する」の箇所を〇で囲んでいたが、署名のみで住戸番号の記載がなかった。
令和5年度 マンション管理士試験
正解:3
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
総会の招集通知に添付してある一連の出席票・委任状・議決権行使書において、出席とした上で、余白に「万一欠席した場合は、議長に一任する」という手書きの文章が追加されて返信され、総会当日は欠席であったので議長が代理人として議決権を行使した。→有効
組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。(標準管理規約46条4項)
2 正しい。
自分のパソコンで「全ての議案に反対する」と部屋番号と氏名を記載した議決権行使書を作成し印刷されたものが提出された。→有効
3 誤り。
本肢のケース(不動産業者)は、代理人の資格に該当しない。
代理人の資格制限(標準管理規約46条5項)
① その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
②その組合員の住戸に同居する親族
③ 他の組合員
なお、組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。(同6項)
(類題)甲マンション103 号室については、当該住戸に居住しているAと、外部に居住しているBの共有となっている。また、総会に先立ち、あらかじめBを議決権行使者とする理事長への届出がなされている。この場合において、総会運営における103 号室の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。
甲マンションの他の組合員Cを代理人として議決権を行使しようとする場合には、Bを委任者、Cを受任者とする委任状を作成し、理事長に提出する必要がある。〇
令和4年度 マンション管理士試験 問29ー4 改題
4 正しい。
議決権行使書に、「議案に賛成する」の箇所を〇で囲んでいたが、署名のみで住戸番号の記載がなかった。→有効
(解法のポイント)委任状及び議決権行使書の有効性は頻出論点である。本問で「有効・無効」を押さえておこう。
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